岐阜県本巣市は南北に長く、一番北にあるのが根尾地区で、全面積のほとんどが山間部となっており、根尾川沿いに僅かな平野があるのみです。
平野は根尾川沿いに集落のある所だけが耕作地として開けており、他は谷の深い渓谷の流れとなっています。この川の分水嶺は福井県との県境で、そこには美濃の最高峰である能郷白山があり、11月から5月頃まで冠雪した美しい姿を見せています。
根尾川は流域面積が広いことから、奥地でも水量が多く、かつてはこの地の特産品であった木材や炭を運ぶための水運に利用されていました。
このように水量が多く渓谷であれば発電用のダムとして適地であったと考えられますが、小規模なものを除き、根尾川に大きな発電ダムは建設されていません。(ただし上大須に建設された揚水式水力発電所ダムがありますが、形式が特殊であることからここでは例外としています。)それに対して近くの揖斐川にはたくさんのダムが造られています。
根尾川に大きなダムが建設されなかった理由として思うに、流域に集落や人口が多く、水の底に沈めるにはあまりにも犠牲が大きかったからではないでしょうか。今でこそ根尾地区の人口は過疎化で小さくなっていますが、かつては現在の3倍以上の人々が住んでいたのです。
さて今日の写真で、背景の根尾川は日当地区で、この少し上流にある小規模ダムに水を取られていることから水量は少なめです。流れる水はいつも透明で、水温は足をつけるのもためらわれるほどに低いのが特徴です。
根尾川渓谷の秋の紅葉は錦絵のように美しいのですが、春の新緑の時もまた魅力的で、流域にはたくさんの撮影スポットがあり、それぞれの季節で写真を楽しむことができます。
使用機材のカメラは Sony α7Ⅱ、レンズは Tamron SP AF 28-75mm f2.8 LD。大きな写真の撮影データは、焦点距離55mm、35ミリ版換55mm、ISO 320、F4.0、1/250sでした。また、大きな写真はクリックして更に大きく見ることが出来ます。
このレンズ、さすがにSP仕様だけあって、発色、解像力、ボケとも素晴らしい性能を持っています。